「遊び」が変わっていく力をつくるかもしれない―趣味、屁理屈、人生の意味

 

育て上げネット―工藤啓(後編)

前編では、育て上げネットというNPOが社会的つながり乏しい若者へリソースの投下先を移行させながら、独自のメソッドをもって、社会関係資本を繋ぐ第三の道をつくってきたことが語られた。
とはいえ、決して誤解してほしくない。工藤啓は、高邁な理想を実現するカリスマ経営者では決してない。失礼ながら、どちらかといえば自ら好んで真逆に立つ脱力系だ。後編では、そうした選択や組織としてのあり方がなぜ可能になるのか?その源泉ともいえるエピソードが語られていく。

本人の問題か環境の問題か?—父親からの問いかけ

――工藤さん、お父様も若者支援の分野でお仕事をされていましたよね。それに対する距離が変わってきたのではと感じることがあるのですが、何か記憶に残っているエピソードのようなものはありますか? 

生まれたときから、自閉症、知的障害の方とか、非行少年とかいろいろな人と一緒に暮らしていたんですよね。父親が共同生活型の青少年支援を手掛けていたという不思議な家庭でしたから。

小学校4年生か5年生の時かな。ガンダムのプラモデルをつくっていたんですが、それは自分としては大作で、そのコレクションを並べるわけですよ。それが、ある時、知的障害の子がコレクションを全部ぶっ壊してしまった。子どもだから自分も泣くじゃないですか。父親に「あいつが壊した!!!」と言いつけたら、「そこに置いたお前が悪い」って返ってきたんですよ。

「だって彼のこと知っているだろ?」と。「たまに癇癪起こすだろ?」「知ってるよ」「じゃ、なんで置いとくんだ?」と父親から言われて、「…そうですね」と頷くしかなかった。

工藤啓

特定非営利活動法人育て上げネット理事長、金沢工業大学客員教授、東洋大学非常勤講師
1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)など。

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阿部真紀

阿部真紀

神奈川県横浜市生まれ。困難な立場にある人の人権に焦点を当てた人文社会系出版社にて書籍編集者を経て、その後、人と組織の変容支援の現場に携わる。個別支援、コンサルティングと並び、取材・ライティングを通じ、共に生きる生命の可能性を探求し続けている。

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